もっと地元・高島市の方にも知って頂くことができればー…。
資源枯渇も危ぶまれ、エネルギーも多様化する今、どこか原点回帰を感じる取り組みをしている若者たちが、いる。
「昔、ピーナツが燃料となっていたこともあるんですよ」精製されたバイオディーゼルを並べてそう話すのは、
資源を高島地域で循環させる取り組み「まちなか油田プロジェクト」の起案者として、再生可能エネルギーの浸透に尽力している有限会社橋本燃料の専務取締役・橋本翔太さん(滋賀県高島市今津町)。
家庭や飲食店などの事業所から出た天ぷら油(植物油)を精製し、市内の農家さんなど、ディーゼル燃料を必要とする方に提供するリサイクル事業で、精製された燃料は環境に配慮したものであることから「バイオディーゼル」と呼ばれる。
彼にエネルギーの在り方について一石を投じた3.11東日本大震災。災害時にも揺らがない自立した資源の仕組みもあれば…と燃料の仕事に従事する自分だからこそ出来ることがあるはず、と強く想いを滲ませた。
“限りある化石燃料に頼らず、再生可能エネルギーの地産地消によって地域経済が好循環となること”を模索していたところ、昨年、バイオディーゼルに出会い「これだ」と心を固めた。
周囲の方々のアドバイスや協力を得ながら地道に準備をすすめ、昨秋には精製に必要な機材を設置し運用が始まった。
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この春にクラウドファンディングで募り得た協力金を購入費の一部に充てた回収用トラック。
そんな希望を感じるバイオディーゼルについて橋本さんご夫妻にお話を伺ったのでご紹介。
具体的にどんなものに使えますか?
ディーゼルで動くものです。例えばトラクターや発電機、建設重機や船などの燃料としてやハウスの暖房などです。
将来は市内にとどまらず県内でもバイオディーゼルの販路を広げつつ、県内の子ども達にも環境について学ぶ機会になればと思っています。
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なるほど、それは素晴らしい。田畑が沢山みられる高島市で、「このトラクターはうちから出た天ぷら油で動いてるんだよ~!」なんて話している子供たちを想像だけでワクワクしますね。使用の場をあらゆるところに広げてほしいものです
市内でご協力頂いているのはどのくらいの数がありますか?
現在のところ、30カ所ほど。飲食店だけでなくなないろ保育園や愛隣保育園など、今津町内の保育園にもご協力いただいています。
始めたばかりですが、現在の課題は?
現在、まだ回収量が足りず、欲しいというお声に対して十分にお渡しできていないのが現状で、いかに認知度を上げて回収できるかが課題となっています。
需要と供給バランスが安定してきたら、精製の過程で出た副産物を洗剤として提供することや、堆肥化も考えているそうで、余すことなく使われている様子が分かると利用者にとっても嬉しい限り。
![かわしま](https://kawashima-antenna.net/wp-content/uploads/2019/06/kawashimahukidasi.jpg)
是非、橋本さんの取り組みは子どもの自由研究にもお世話になりたい内容ですね。
便利を追求して目を逸らしていた「自然界の循環」。
現代で「エコな暮らしのお手本」と称され260年と長らく続いた江戸時代も、実は行き過ぎた開発による人と自然界のバランスが崩れたことによる災害で、人口が減ったこともありました。
しかし彼らは経済成長を急がず、モノひとつにとっても単純に捨てることなく、「役目を果たせる形」に変えて最後の最後まで使うという仕組みを構築していたのです。
先人からの知恵を受け、この時代に合った形「温故知新」で上手く生かしつつ、新たな循環としてこの取り組みが高島の地に根付くよう、応援したいですね。
今後はクリーンディーゼルにも対応したものも提供するなど、サービスも拡充させていきたい。と温めているプランを穏やかに語る橋本さん。静かなる情熱を携え頼もしい限りだ。
家庭や飲食店から出た食用油が、地域の農家さんによってまた、美味しい野菜が生まれる。それをまた自宅やお店で口にする。
そんな風に高島に生産者と消費者が円いご縁で繋がることで地域が生み出す資源の循環は、実は、あなたのご家庭からも生まれる。
あなたも一緒にはじめてみませんか?
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橋本さんご家族。個人ブログの取材にもかかわらず、快くご対応してくださいました。ありがとうございました。
ご利用について
★使用したてんぷら油は漉しとって容器に保存
・必要な方は橋本燃料さんや市内協力店からボトルを借りることもできます。
・ペットボトルはリサイクル資源ですので油が入っていた容器を使うことをおススメします。
・調理に使用する食用の植物油が対象ですが、温度が低いと固まってしまうココナッツオイルはリユース対象外。
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橋本さんの奥様のアイディアによる使用済み油用ボトルも。市内協力店にもおいてあるそう。
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口が広いので注ぎやすい。手入れもしやすく、なるほど、女性ならでは視点で事業をサポートしているのが伺える。
★橋本燃料さんや、協力店に回収ボックスがありますのでそこへ入れる
飲食店さんなど大量の場合は橋本燃料さんが回収して下さります。
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橋本燃料さん店舗裏に回ると回収スペースがあります。
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バイオディーゼル精製プラントの看板
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橋本燃料さんの敷地裏手に回収ボックスが。我が家もこの日のために貯めておいた使用済み油を持参。
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回収後の油はこの容器へ。
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一次反応タンクと操作盤。メタノールと水酸化カリウムの混合液を加え温めながら1時間かけて混ぜて一晩静置沈殿。
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【エステル交換反応】を利用してんぷら油のトロっとしている成分であるグリセリンを取り除きます。
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廃グリセリンの除去が済んだものをこの二次タンクへ。ここで温水洗浄。 水で洗って汚れや不純物を油と分離させること二回。これらの過程で水と油が乳化しないのか気になりましたが、事前に設定して管理していると乳化しないそうです。
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エステル交換反応を利用し抽出された黒くてドロドロの廃グリセリン(左)と廃グリセリンの除去したものを二次タンクで温水洗浄してできた粗バイオディーゼル(右)は、仕上げ前の段階。
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さきほどの工程で一晩冷ましたものをろ過装置・エリオンドライに通す。
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エリオンドライを通った後の最終工程です。エリオンクリーナー内を循環させながら高電圧の静電気を利用してさきほど除去しきれなかった超微細な不純物を除去。
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どちらも精製が済んで使用可能となったバイオディーゼル。右はさらに精製精度が上がり、よりクリアな色味になったもの。試行錯誤し、橋本さんの「より良いもの」への飽くなき追求が垣間見える痕跡。
★必要な方はバイオディーゼルを購入できます
石油系と違って価格変動がわずかなこともバイオディーゼルのメリット。出来上がったバイオディーゼルは2019年5月現在、1リットルあたり100円で販売されているそう。※価格は現在お試し価格となっています
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ステッカーが目印
![かわしま](https://kawashima-antenna.net/wp-content/uploads/2019/06/kawashimahukidasi.jpg)
トラックの後ろにスタンバイして、エンジンをかけてもらいました。匂いは、もうもうと焼けた時の油の香りに、ちょっぴり揚げ物の香ばしい香りが潜んでました。むっと咽そうなディーゼルの排ガスと嗅ぎ比べすると違いが歴然。
お問い合わせ先:
有限会社橋本燃料(滋賀県高島市今津町今津230)
電話 0740-22-2140
公認ブログ「3代目ショータのEneLog」にて
活動内容や市内協力店の一覧がご覧いただけますよ~
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細かな部分、裏方でサポートする奥様も素晴らしく。ご夫妻力を合わせて頑張っておられます。
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